| 10,疑惑 |
家が妙に生活感がないのは、おやじが潔癖症だからだ。私は決してキレイ好きではないが、人様から借りている空間をちらかすこともない。しかし、テレビのリモコンなども、私が帰るときっちりと“所定の位置”に戻されていたり、台所のものは全部棚の中に戻されまたまたモデルハウス状態に戻っており、息のつまるような潔癖さだった。さらに彼はソファに並んで私と話していると、足をのばしてきて、足の指の先でこちょこちょと人の太ももをくすぐった。 「??」 なんだこいつ。おかしい。恋人でもないのに、こういう馴れ馴れしい態度は心外だ。それが気持ち悪い彼ならなおさら。さらに、彼は外出中に自分の部屋のドアを開けっぱなしにしていくのだが、私は中に干してある洗濯物におかしなものを見つけた。 「なんだこりゃ?」 人の部屋なので、入っていくのも気が引けドアの入り口からじろじろ眺める。透け透けの黒のレースの局部隠し、それ以外は全て紐、という、どうやら下着のように見えた。おっさんの容姿からは想像もできない変態めいたデザインに、私は「いやいやヘアキャップかも・・」と、そもそもおっさんがヘアキャップ被るのも、それはそれでやっぱりおかしいじゃん、という思いを隠し、必死に自分を納得させた。さらにリビングにあるスカスカのビデオラックの中にポルノビデオも見つけた。いや、“見つけた”というより“見つけさせられた”と言ったほうが的確だ。まるでわざと私に見せるかのように、堂々と目のつく場所においてあった。几帳面に片付けられた陽のあたるパステルグリーンのかわいらしいリビングに、巨乳を突き出した大迫力の金髪美女のグロテスクなボルノビデオの表紙はあまりに不釣合いだった。 さらにある日、彼は私に「15〜17:00の間は家にいないで欲しい」という。理由を問うと、来客があるという。来客ぐらいでなんで私が家から追い出させないといけないのだ?おまけにその日は超強風。仕事も友達もいない私に2時間もそんな悪天候の日に“家にいるな”とは一体全体どういうことか?私は納得いかず、 「じゃあ、部屋から出ないよ」 すると彼は、女性の友達で僕に相談があり、すごくナーバスな人なので僕以外の人が家にいるのを嫌がるんだ、という。 なんだそりゃ?彼女というわけでもなさそうだしとにかくああいえばこう言う、という具合。彼らしくなく、とてもいらいらして見えた。家賃も払ってるのに、何故私が追い出されなきゃならんのだ、とカチンときたが、何を言っても無理そうだったので私はしぶしぶ家をでた。ビーチに行っても強風で、寒いし、行き場所はないしで 「家に帰っちゃおうかなあ」 とも思ったが、人を追い出した2時間ではたしてどんなことが繰り広げられているのか。それを確認する勇気はなかったのでやめた。約束を守って5時過ぎに帰るとピーターはいつになく大歓迎で私を迎えた。しかし、この一件以来、私はだんだんと彼に薄気味悪さを覚えていった。そして、決め手となった大事件が起こった。 続く・・・・・ |
