33, 再会

日本に帰ってから半年後、ゴールデンウェークにケアンズの町を再び訪れた。
半年前は田舎だし、どろどろした狭い人間関係ばかりが鼻につく大嫌いな町だったが、一度出てみるとなんてすばらしい町だったんだろう、と気づかされた。
やはり人間は自分が変わらないない限り何も変わらないのである。

彼とも再会したが、よりが戻るということはなかった。どちらかというと“離婚した元夫婦”という感じだった。さんざん愛し合って、傷つけあって、好きだけれど二度と元には戻れないことを知っていた。
とてもいい関係になれた。出会った頃のように彼はとてもおもしろく、そしてやさしい人になっていた。私たちは再び腹を抱えて笑いあえる、旧友のような仲に戻れた。
「結婚してなくてよかったねー」
危なかったあ、とそんなことまで言えるようになった。
でも言葉とは裏腹に時折彼は寂しそうな表情を見せた。
複雑な思いは未だあるにしても、とにかく別れてよかった、そう思った。思い切ってその場の状況を変えるしかない。腐った縁は切ったほうがいい。彼はまたいつでもおいでよ、といってくれたが、
「でも旦那と子供は連れてくるな」
嫉妬してしまうからね、と半ばおどけて、そして半ば本気でそういった。
3泊4日というあわただしい滞在ではあったが、つらい時期をくぐりぬけ、思い出を共有するもの同士の絆を確かめあった。空港まで送ってくれた彼は私を抱きしめると

「まだ愛してるよ」

と、耳元でささやいた。
「はあ?!」
驚いて顔をあげる私にぺロッと舌を出しておどけて見せると
「see you!」
笑いながら手を振り去っていった。
「全く・・・・」
力なく一人微笑むと私もイミグレーションヘ向かった。