2001.9.17 更新

Beautiful planet

akiko の恋愛旅行記

 10、ニホン(埼玉)さー、帰ろ、帰ろ. 

成田から地元の駅につくと、リュックを背負ったまま、真っ先に本屋へ向かった。

「an」と「from A」を購入。その日のうちに面接へ行きバイトを決めた。

日本円の強さをアジアでこれでもか!っつうほど感じた私。

手ぶらで日本にいるのはもったいなさすぎる。

日本国籍があり、簡単に日本で働ける。この国で10日も働けば、この2ヶ月の旅費の

元がとれた。

日本人って便利だなーとつくづく思った。

この国で働くのに日本国籍を持ってるのって得だということ。

日本人だからあたり前なんだけど、なんとなく私の意識は日本に対して、この時すでに第3者的だった。

故郷であると同時にただの「金の成る島」でもあった。




久々に彼氏と会う。アジアで散々別の男と、うだうだしていた私はどう接していいものか、

はたして普通に会えるのか心配だった。

向こうも急に帰ってきた私に困惑しているようだった。

「なんか幽霊みたいだよ。」

彼はそう言った。

それでも、日がたつにつれ私達は通常の生活を取り戻し、

私もまるでアジアに行っていたのが幻のように感じられる。

バンコクに再び帰るフライトを1ヶ月後に取った。




出国が近いある日、彼が私のひざまくらの上で目に涙を浮かべていた。

2年間付き合って、彼の涙をみたのはこれが初めてだった。

「泣いてるの?!」

「泣いてない」

「泣いてるじゃん…!なんで泣いてるの…?」

すると、彼がぽつりと言った。

「だって・・・またいっちゃうんだもん」

がーん…。

なにも言えなかった。

そんなに彼を苦しめていたことに気づかなかった。

もっと、気楽に考えていた。

人を泣かすなんて、小学生の頃の兄妹げんか以来か?

いやいや、泣かされてたのは私の方か。




この一ヶ月、そこにいるのが当然のように日本に馴染んでいた。

たかだか3万円、帰りのチケットなんてポイして、

またここで働いて週末彼氏とデートして・・・・。

それでなんの問題もない筈だった。彼といるのはとても居心地が良かった。

「なんで私はこんな居心地のいい生活を捨てようとしてるんだろう??」

何度も自分に自問した。




見たことないものが見たかった。ただそれだけ。

私は人よりも好奇心が強すぎた。そして実際に動ける行動力と

少しの勇気を持っていた。日本にいることが、とてもぬるま湯のように感じられた。

居心地がいいからいてしまう。それが嫌だった。

そして何よりも、男のために自分を犠牲にする、そんなことは私の中では許されなかった。

苦労しないと気がすまないたちらしい。




不思議と私の中で彼に対して「悪い」という罪悪感はなかったように思う。

かわいい人だ、と思うと同時に自分のために人が泣いている、こんなに愛されている自分に酔っていた。

そして、私の心はすでに次に向かうであろう未知なる国へと飛んでいた。

つくづく自分勝手なんだなー、私って・・・。




雑煮も食ったし、バイト代で航空費、この2ヶ月の出費、それ以上の今後の資金、

今回の帰国でがっちり元をとった私は、すっかり旅の気力を回復し再びバンコクへと旅立った。

ごめんねKちゃん。

I like the scar above your lip.

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